FanFic 4🏨 ⚠️

なおこの場においてNSFW作品とは、

・リップキスの表現

・性交渉の表現

・デリケートゾーンに関する性的表現

・性的観点を目的とした露出の表現

・性的ととれる言葉の記載

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 一度だけ、ストレス発散のために犯されたことがある。殺されはしなかったが、代わりに次の朝、ごめんとだけ言って出かけていった。その日以来、彼が頻繁に行っていた犯罪行為はなくなり、彼の犯罪を手伝うのに楽だからという理由で共に暮らし始めたこのマンションの一室に、そんな理由もいつか消えていた。気付けば、ステータスだなんだのと言って付き合っていた5人の彼女とも、全員と別れていた。しばらく様子を見ていたが、犯罪も5股も、突然やめたのがなぜかいまいちわからずにいた私は、とうとう彼に問うた。少し黙ってもったいぶったあと、彼は笑わないでくれと静かに言った。笑いませんから、聞かせてくださいと答えると、彼はぽつり、私に告げた。

 愛の告白とやらであった。非常にテンションの低い。テンションの低さはおそらく、彼の予想しなかった、あまりに突飛なことであるからだろう。あんなにモデル体型で巨乳の女が好みだとか、私を寸胴だとか倫理観のない女だとか小馬鹿にしておきながら、彼の本心は私を、私の心を手に入れたいと考えていたのだ。こんな僕だが、今君に拒絶されるのを怖がっている、情けないと苦しそうに言うものだから、つい私は彼の告白に肯定を告げてしまったのだ。彼がどうであれ、そばにいることは変わるつもりがなかったものの、このような形になることは予想していなかったから。少しばかり動揺していたのだ。でもまあ、苦しそうな顔から、安心したような表情に変わる瞬間を見たのは、心にくるものがあった。それに、同じベッドで眠る時に、私が寝たことを確認してそっと手を繋いでくるのも、なかなか可愛いところがあるものだ。

 おかえりなさいと言うと、素っ気なくああ、とだけ返ってきた。遅かったですねと言うと、寒いと呟かれた。言葉が噛み合わない。暇を潰すために眺めていたテレビのスイッチを消し、彼と視線を合わせる。私が彼に、そんなところで立ってないでこたつに入ればいいじゃないですかと告げると、不満そうな表情で見下ろされた。君は寒くないのかと続けられ、こたつに入っていますからねと返しかけたところ、私はあることに気づいて言うことをやめた。

「……もう少し素直に甘えたらどうですか、大外さん？」

 ふい、と横を向いてしまう。しょうがないですねと呟きながら、こたつの端の方にずれてやると彼は空いた私の隣に座り込んだ。

「まったく、聖生くんは私のこと大好きなんだから〜」

 彼の頬を、人差し指でつついてやると、ぱっと振り払われた。一瞬だけこちらを睨んだ後、もう何も写っていないテレビの方へ向いてしまった。無視ですか、とまた頬をつついてやろうと指を向けた瞬間、今度は振り払われずに手首を掴まれた。

「煽っているのか、塚原？」

「わはは、そんなわけ──おぶふっ」

 かわいくない声、と真上の男が呟くのでステキな天井、と棒読みで返してやると鼻をつままれた。

「うぎゃ」

「君はどうなんだ」

 鼻から手を離すと、そんな問いをかけられた。何がですかと聞くと、これまた不満そうに見下ろされた。

「ちゃんと言ってくれないと伝わらないですよ〜」

 彼は不満そうな顔のまま、黙ってしまった。目で訴えようとしたって無駄である。なんせ私はテレパシーなど持ち合わせていないのだから。そろそろ掴まれた右手首が痛いなと思って来た頃、彼は口を開いた。塚原、とだけ呼んだ彼の唇は、ゆっくり私の唇を食んだ。一度離れたかと思うとまたすぐに口を合わせ、ぬるりと口内に侵入される感覚があった。彼の舌はしばらく私の口内で暴れ回り、私の舌を弄んだ。

「っは、う、おおそ、んんん」

 さすが、元5股の男。テクニックがすごい。なんて思っていると、冷たい何かが肌をなぞる。腹のあたりから服を捲り上げられていて、どうりで少し寒い。胴を這う彼の手は、私の貧相な胸に辿り着き、下着の中をまさぐる。ひとしきり人の口内を暴れていた舌はやっと帰っていったが、今度は耳やら首やらを舐めてまわり、最終的には胸の突起物へと向かった。

「っあ、おお、そと、さ」

「随分感じるようになってきたじゃないか、音子」

 彼は行為をする時だけ、下の名前を呼ぶ。彼なりの甘えなのだと解釈していたが、この彼の名前呼びに、私も相応の対応をしないといけないらしい。私も彼の下の名前を呼んであげないと、いつまでも焦らしプレイをするのだ。タチが悪い。

「まさき、さ、ん」

 胸に顔を埋める彼は嬉しそうにして、軽くキスをおとす。表情ばかりが素直なんだから、かわいいと思ってしまう。そして、愛している、と私の名前を呼んで、また舌を絡ませ合う。

「君はどうなんだ」

 そのセリフは、それだったか。確かに僕は君のことが大好きだが、君は僕を愛しているかと言いたいらしい。

 低い山の頂上を眺望していた手は、舌にその場を任せて山を去っていく。そして体の下の方まで這っていき、脚をなでる。山のお世話を任せられた舌に、生暖かく、ぬるりと舐め取られる。脚を静かにさすられるのも相まって、体は私の意思とは関係なしに跳ねさせられる。やがて私が履いていたスカートは脱がされ、下着までもどこかにやられてしまった。

「音子」

 音子、音子、と何度も呼びかける彼の声は、少しだけ、緊張を孕んでいる気がした。何か、あったのだろうか。

 彼の指は、濡れた孔に挿し込まれることなく、その周囲を遊び回る。

「すき、ですから、まさきさ、ん」

「ああ、愛してる」

 嬉しそうな顔。

 ふかふかのベッド。ベッドのほうが君もよいだろうと抱え上げられて移動させられた。彼もベッドに乗っかり、目の前に座る。そして音子、とまた私を呼んで、抱きしめられる。きょうは彼が異様なほど私の名を呼ぶのでどうしたんですかと問いかけると、彼はためらいをもって黙ってしまった。やっぱり、なにかあったのだ。両親についてか、仕事か、あるいは、パイセンか──最後の可能性において場合によっては大外聖生をどうにかしてまうかもしれない。そんなふうに考えつつ、返答を待っていると彼がとうとう口を開いた。目をつむっていてくれと静かに言って、さらにはもうよいと言うまでだと念を押した。目を瞑って彼の行動を待った。合図を聞いて、目をゆっくり開く。

 私は目の前に、小さな箱を見た。蓋は開かれ小さな輝きが主張する。私と男との間に設置されているそれをしばし眺める。彼の表情を見ようと顔をあげると、彼はこちらを見ていて目があった。

 彼のプロポーズは切実であった。普段通りであれば、私が裏切らないことを確信しているくせに、大事な面でたぶんこうなるのだ。緊張に加えて、根にある自信のなさや不安癖が災いするのだ。付き合う当初は動揺していたけども、やっぱり私たちは運命だったのだ。その運命の相手がなにを理由にあなたの求婚を断るのか。私は震える彼の唇にキスをした。一瞬驚いた彼だったが、すぐに私を抱きしめ、そしてともにベッドへ倒れ込んだ。真上の男は微笑んで私の指へ、リングをはめる。彼もいつのまにか身につけていて、その手が私の頬に触れる。

「愛している、音子」

「ええ、愛してます聖生さん」

地獄に堕ちようとも。