FanFic 18🌊

以下本文

妄想、捏造を含みます。

一応クリア後推奨です。よろしくお願いします。いちばんすきなエンディング。このルートのココスキ……とかの妄想詰めたものです。

2ページ目に個人的解釈及び考察を書いておきました。補足ついでに？あとがきついでに？なんかそんな感じです、ただの呟きみたいなものですが読んでいただけると嬉しいです。

余談、七草粥を出して人間さんに日付感覚を得て欲しかったんですが、上手に七草感を入れ込めませんでした。あんまりダイコクさんのご飯の話させてもお弁当が霞んでしまう気もしますしね！

クリア後推奨

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　薄暗い倉庫の、大きな鏡。ひとりの人間は気がつくとその前で転がっていて、”鏡”には迷い込んでしまったと話した。それが半年前のこと。

　何か、嫌なことがあった気がする。そう思って人間は、”鏡”が呟いた羨ましいという言葉を反芻している。何があって自分がここにいるのか、思い出せない。自分の名前なら覚えているけれど──いやもしかしたら、名前も間違っているのかもしれない。

　頭巾の神さまが自由に使ってと案内した部屋には、寝台と机、箪笥、本棚、外──と言っても海と空が広がっているだけである──が見える丸窓があって、部屋の隅には大きな達磨が置かれていた。良い夢を、と頭巾の神さまは言っていた。あとは、何を言っていたのだったか。

　目が覚めても、見慣れぬ部屋は変わらず、人間は溜息を吐いた。達磨の顔を睨みつけてささやかな八つ当たりをしてから、机にあった未使用の筆記帳に今日の天気を記入した。そして人間はまた眠りについたのだった。

　再び目を開くと部屋は既に暗く、僅かな月明かりでせいぜい絨毯を認識できるくらいだった。声が聞こえた気がしたけれど、夢だったのだろうかと疑いつつ、寝起きの頭をそのままに人間はドアのあるほうを向いて警戒した。聞いたことのある声が人間の名前を呼び、大丈夫と心配する言葉を続ける。人間は声の主を、昨晩の頭巾の神さまだろうとわかっていたけれど、返事をせずにいた。やがて彼は「ここにご飯置いておくから、良かったら食べて」と部屋の扉ごしに声をかけて、その場を立ち去っていった。

　人間は結局、扉を開けることすらせず神さまの心配を無視した。覚えていない記憶が拒絶したのか、どうしても警戒してしまっていた。それから数日間、一度たりとも扉を開けることなく過ごしていたが、やはり空腹に耐えられずゆっくりと扉を開けた。そして廊下に誰もいないことを認識したら、それを拾い上げる。少し塩を感じるだけの冷めた粥を、人間は一粒も残さずあっという間に腹におさめてしまった。

　それからもやはり人間は部屋からは出なかった。猪口の焼き菓子があったとか、咖喱が多いとか、そんなものを日記に付け足すようになっただけで、寝て起きて、食べて、本を読んで、日記をつけて、寝て起きて、それを繰り返していた。

　ここひと月ずっと降ってばかりいた雨が止んだ。

「……あの」

　凛とした、綺麗な声。まどろみにいた自分の目を擦って、扉のほうを見る。

「ちょっと入っても良い？」

　返事をする前から、扉が開いた。挨拶をするその神さまの姿は、人間にも一度見た記憶があった。下げみずらと天冠が朝日に煌めく。神さまは人間の前に立って、「私のことわかる？」と問うた。

「ベンテン、ね。もう覚えたでしょ？」

　無理にとは言わないけれどと前置いて、ベンテンは部屋の外の話をする。海を見てゆっくりするだとか、星が綺麗だとか、そういうことを言って甲板に出ることを促していた。

「私が作ったんじゃないけど」

　ベンテンはぐいと人間に包みを押し付けて、じゃあねと部屋を出ていった。人間は自分の手の上に残されたそれを開き、中身を確認する。

　お弁当だと言うから、いつものあの頭巾の神さまが作ったのだろうかと、そしてそれを様子見ついでにベンテンが届けてくれたのだろうかと思った。

　人間はいつもと少し違う味付けの卵焼きを頬張って、包みの色も、容器の見た目も、丁寧に日記に記していた。

「あら」

　甲板に出るとすぐの垣立にベンテンは立っていて、人間が船内から出てきたのを認識するとふふと機嫌が良さそうな顔をした。さっき人間の部屋に押しかけた時は、不安そうな、それとも宥めるような、そんなふうだったのに。

「出てきたらって言ったから？」

　かわいいと笑って、じゃあねと甲板の操縦室の中へ姿を消す。人間はしばらく、そばの垣立に寄ってさざ波を眺めた。

　眼前に広がる海は満月を照り返していて、人間はそれに見惚れていた。大きくて、妖しい光。体を奪う水はもう冷たくも感じなくなってきて、やがて、暗く大きな波に包まれてしまった。深い、闇の中へ。

　これは、なんだったっけ。

「どうしたの？」

　ぼうっと虚空を見つめている人間の顔を、ベンテンが覗き込んでいた。心配そうな表情に、人間は意識を取り戻して、なんでもないと首を振る。言葉数が少ないたちであるのは確かであったが、それよりも、人間はすぐに夢のようなそれをほとんど忘れてしまったので、説明しようにもできないはずだった。

「もしかして、爪とか当たっちゃってた？」

　ベンテンは人間の髪を触るのをやめて、ごめんねと軽く頭を撫でてやる。さらさら、さらさら。柔らかい手付きに、人間は何だか眠たくなって目を閉じる。

　心地良い歌声は、その人間に聞こえるだけの小さな声で、吉夢を願った。

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ここからは個人的解釈及び考察につき、全エンディング回収後推奨です。

　ホテイさんルートのイベントのうちにいくつか、人間さんがどのような経緯で船に来たのかが描かれております。

　それは「どこかの地区の風習で、神への生贄として海に少女を沈める」という”人身御供”でありますが、もしかして、そのあたり全ルートの共通情報なのでは……？と思った次第です。

　人間さんはその風習により身を沈め、その後海を漂う姿を見つけたホテイさんに助けられて倉庫に置きざり、そこから目が覚めて宝船での生活が始まるのが共通なのでは？ということです。「この雨はどこかの人間さんの祈りをどこかの神が叶えたものだったのかしら。雨乞いみたいな。」というセリフもベンテンさんのイベントにあります。

　そして各々の神様との交流によって、人間のままだったり、もともと存在していた神さまの依代になったり、暮らしていくうちに神さまの性質を見出されて新しい神さまとなったり、神になりたいと思うようになったことで神さまになったり、とかそういう感じなのかな〜と思っています。

　依代のやつなんかすごい大変そうですけどね、悪神がなにか企んで人間さんに忍び込んだり、夫への愛情あふれてつい人間さんの体借りたりしちゃうんですかね。

　「神隠しにあっていたとされる〜」と記されたエンディングもあるので疑いようのある考察ではありますが、まあ、無理矢理言うならば、あの風習の土地の人々がなにかしら誤魔化してるのかな（生贄にすることを他の土地の者から忌避されたくないとかで）などと考えればなんとかなりそうです（なるのか？）

　本文ベンテンさんの話に変わります。

　言葉にしちゃうのも野暮ってもんだと思うんですけど言わないと落ち着かないっていうかもう心があれなので言わせてください。

　そのお弁当作ってきてくれてありがとねベンテンさん、だいすき。心配して押しかけてくれたの優しすぎて泣いちゃう。足音聞いてそわそわしちゃうのかわいいね。他のだれにも懐かないのに自分にだけついてきてくれてちょっと優越感、とか思ってるんだろうか、かわいいな、かわいい……。手袋もわざわざ手作りで編んでくれたのほんとすき、何色の毛糸で作ってくれたのかな、持って帰れるのかわかんないけど（お面を携えて人間界に帰ってる描写もあるので持ち帰れそう）めっちゃ大事にする。

　………ありがとうございます。

　人間さんは多分、もとの土地ではないどころか、そこから遠い場所の海に打ち上げられたりとかするんだと思います、わからないですけど。

　人身御供共通説でいくと、ホテイさんの言う通り、元の場所には帰してあげられない……あげたくないですから、別の場所で、幸せに暮らせるようにはからってくれるんだと思います。

　よく考えたら神隠しってことにされてるエンディングも、事情を知ってるホテイさんが、人間さんが元の土地に戻らないようにしておいてくれたのかと思うと泣けますね。

　あんまりホテイさんの話ばかりするとベンテンさんが天気の話をしに割り込んできそうです。

　お泊まりしたい。

　突然関係ないですけど、倉庫の白々しい割り込みといい、トンデモ操縦の注意といい、エビスさんはかわいいですよね。あれほんとにベンテンさんだけが操縦したと思ってるのかな、ピュアだからありうるんだけどな。

　倉庫でピュアふたりが邪魔しに来てくれるのすきです、かわいいですよね、ﾄﾞｰﾝ！おふく！！

　エビスさんのエンディングは全部ピュア極めてて涙が出ます、最高の神様になるのでおとうさんと仲良くしててね。

　あんまりピュアピュア言い過ぎるとグミになっちゃうとか言おうと思いましたが名前違うし本当に関係ないのでこの辺りで。読んでいただき、ありがとうございました。